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2018/05/28

ハムストリングスの硬さの評価と効果的治療






■目次



 ▶ハムストリングスとは
 ▶各筋群の起始と停止
 ▶作用
 ▶ハムストリングスに問題を有する患者は多い?
 ▶硬さの評価
 ▶治療
 ▶参考資料



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ハムストリングスとは


ハムストリングスは大腿の後ろにある大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の総称です。内側部には半腱様筋、半膜様筋があり、外側部には大腿二頭筋があります。


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各筋群の起始と停止



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>骨格筋の形と触察法より引用


◉半腱様筋
起始:坐骨結節
停止:脛骨粗面の下部内側面


◉半膜様筋
起始:坐骨結節
停止:脛骨内側顆の後内側面


◉大腿二頭筋
・長頭
起始:坐骨結節
停止:腓骨頭

・短頭
起始:大腿骨粗線の外側唇
停止:腓骨頭

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作用


OKC(オープンカイネティックチェーン)状況では主に股関節の伸展や膝関節の屈曲、回旋の作用をもちます。また、立位でのCKC(クローズドカイネティックチェーン)状況では、自重によって下腿が固定されるために膝関節の伸展と股関節の伸展(回旋)、骨盤を後傾させる作用があります。

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ハムストリングスに問題を有する患者は多い?


ハムストリングスは上記に掲載したとおり、活動時によく動く股関節や膝関節の動きを調整するメイン筋肉となります。そのため、過剰使用による過負荷が生じやすく、繰り返し使うことによって過緊張が起こったり短縮が起こったりして硬くなって(以下、これらを「硬い」と表現します)機能低下をきたしやすいです。また、ハムストリングスがこのようになると身体の中心部にある骨盤のアライメントを後傾位にしてしまうので運動連鎖的に全身の骨関節系のアライメントを不良にさせたり(図参照)、スーパーフィシャルバックラインやスパイラルバックラインなどの筋膜でその他の筋群と連結されているため、それに連結している筋肉も動きにくく過度に負担がかかることになってしまうなどの問題が発生します。例えば、腰痛患者ではハムストリングスが硬くなってしまっている影響で殿部や腰背部に疼痛がでていることも非常に多いです。つまり、多くの患者で機能障害の問題の誘因になることが多いのです。


↓骨盤後傾に伴う全身のアライメント不良例↓
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ハムストリングスの硬さの評価


①姿勢をみる
まずは立位を矢状面上から観察して骨盤が後傾していたり膝が曲がっているかどうかを確認します。
ニュートラルポジションは上前腸骨棘よりも上後腸骨棘の高さが2横指程度高い状態ですので、上前腸骨棘と上後腸骨棘に指を当ててこれを確認してみましょう。骨盤が後傾している場合は上後腸骨棘の高さが2横指よりも低くなります。


↓ニュートラル↓
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↓骨盤後傾位↓
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②前屈動作
立位で矢状面状から評価を行いましょう。
立位の前屈で評価するポイントは、前屈時に仙骨後面が天井と平行(立位を0°とすると90°)になるかどうかです。ハムストリングスが硬い場合は、仙骨後面が天井と平行にならなくなります(90°未満)。

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おまけ)仙骨後面以外に役立つチェックポイント

立位時に大転子から垂直に下ろした線を想像して下さい。正常であれば前屈時の大転子の後方への移動はこの線よりも5cm未満にとどまりますが、下腿三頭筋が硬い場合は5cm以上後方に移動します。前屈した時に元々の大転子の位置がわからなくなりやすいですが、立位の際の理想重心位置では外果の2-3cm前方の位置に値するラインに大転子がくるので、この外果の2-3cm前方の位置と大転子の後方移動具合に着目してみると良いでしょう。

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※この図の場合はハムストリングスも硬いです。



また、正常であれば前屈時に脊柱は綺麗なC字カーブを描きますが、脊柱の可動性が乏しい場合などは綺麗なC字カーブができずフラットになる部分があるなどの異常が発見できます。この点についても一緒にみておきましょう。


つまり、前屈動作を矢状面上から観察するポイントは以下の三つとなり、治療対象ポイントを即座に割り出していくことが可能になります。
 ・仙骨後面が天井と平行か⇒ハムストリングス
 ・大転子の後方移動距離が5cm未満か⇒下腿三頭筋
 ・脊柱が綺麗なC字カーブになっているか⇒腰部可動性 など


前屈動作を矢状面からみただけでもこれだけのことがわかりますのでご参考までに。





③SLRテスト
ハムストリングスの評価として理学療法士がよく使う代表的な評価がこのSLRテストです。仰臥位で片側下肢を膝伸展位のまま挙上した時に足がどこまで上がるか、つまり膝伸展位での股関節屈曲角度を評価します。概ね90°未満でハムストリングスが硬い状態といえます。


おまけ)整形外科的なSLRテスト

一般的にSLRテストは下肢挙上テストなどと呼ばれており、坐骨神経痛の評価に用いられます。解剖学的にはSLR30°程度までの挙上で坐骨神経の遊びがなくなり、30°~70°程度でL5、S1、S2が伸張されるため、ハムストリングスの硬さが問題ではなくともL4/L5やL5/S1のヘルニア、坐骨神経痛や梨状筋症候群などの症例で下肢後面の電撃痛・放散痛が見られ、70°未満となります(感度91%、特異度26%)。このような徴候をラセーグ徴候といいます。

このような病態とただ単にハムストリングスの硬さがあるだけとの違いは、痛みの種類で判別します。ハムストリングスが硬いだけの場合はハムストリングスが張ったような感じがあり、上記のような病態の場合は電撃痛や放散痛がみられます。



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ハムストリングスの硬さの治療


ハムストリングスの治療はSLRや前屈動作などを行って伸張しても良いですが、これだと効果が出にくいです。以下のような方法が非常に効果は高いので、前屈動作などの評価で治療前後の効果を確認してみてください。

①筋線維ほぐし(筋膜リリーステクニック)1
まずはテニスボールを1つ使用します。

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座った状態でももの後側にある内外側ハムストリングスを下から坐骨結節の方にむけてたどっていき、両者が合流しているあたりのところにテニスボールをあてます(だいたい膝と坐骨の中間点ぐらいの位置)。

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そして、ふくらはぎでそのボールを裏ももに押し当てる動きを10回程度行うと、ハムストリングスがほぐれます。もし可能であればこれをやった後に両側のハムストリングスの合流のところに手を入れて両手で内外側ハムストリングスを引き剥がすように外に広げるようにしてて揉みほぐすとより良いです。

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②筋線維ほぐし(筋膜リリーステクニック)2
次にテニスボールを2つ使用します。ボールは袋やタオルなどを使って並列させるようにまとめましょう。

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長坐位に座った状態で、そのテニスボールが一つずつ内側と外側のハムストリングスにあたるように足を乗せます。ボールは膝と坐骨の中間点ぐらいの位置にあると良いでしょう。この状態になったら、太ももの自重でハムストリングスがボールに押し当てられていると思いますので、あとは太ももを動かしてハムストリングスをほぐします。


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※いきなり通常のストレッチを行うとハムストリングスは伸びにくいですが、①と②の筋膜リリースはハムストリングスの筋線維の筋硬結がある箇所をほぐして伸びやすくしてくれますので、これを行った後にストレッチをおこなっていきましょう。

ストレッチは前屈でも良いですが、前屈動作は途中で少し触れた通り腰部などの影響も入ってくるのでピンポイントで伸ばしにくいです。ピンポイントで伸ばす効果的な方法は以下の二種類が王道になると思います。



③ハムストリングスストレッチ1
仰臥位になり、片側の股関節と膝関節を90°曲げます。股関節の肢位を保持しながら膝を伸ばせるところまで伸ばし、それを保持しながら足首を5秒間程度背屈します。これを繰り返します。

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④ハムストリングスストレッチ2
片膝立ちになり、立てている前側の足の膝に胸を当てて腕でホールドします。その状態を保持しながら、後ろになっている足を伸ばして天井の方におしりを持ち上げて頭を下げていきます(抱えている方の足も行ける範囲でしっかり伸ばしていきましょう)。いけるところまでいって10秒~30秒程度ハムストリングスを伸ばしましょう。

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※ストレッチ時間は適宜調整しましょう。




治療で特に重要なのは①や②の筋膜リリースです。これを行っていない筋線維はほぼ確実に筋硬結がある状態ですので、そのような状態でストレッチを行っても硬いところは伸びずに元々伸びやすいところだけがオーバーストレッチになる可能性が高く、そのようなストレッチばかりを繰り返していると逆に筋線維が微細断裂を繰り返して治癒過程で再び筋硬結ができて硬くなってしまいがちになるため注意しましょう。

なお、今回は患者さんなどが自宅でのセルフストレッチを行えるようにするためにテニスボールで筋膜リリースを行う方法をご紹介していますが、最近では、筋膜リリース用の電動フォームローラーがあるので治療者の方はそちらを使ってあげるといいと思います。僕もバイパーの電動フォームローラーを一つ持っていてかなり重宝しているので、持っていない人はぜひ使ってみて下さい。普段ストレッチしかしてない方は短時間で劇的に筋肉が緩むことにびっくりすると思いますよ。





参考資料




















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以上で今日は終わりです。

最後までお読みいただきありがとうございました!
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