2016/03/28

Brunnstrom Recovery Stage 運動麻痺の評価






Brunnstrom Recovery Stageとは、Signe Brunnstrom(シグネ ブルンストローム)が片麻痺の運動療法 [ シグネ・ブルンストローム ]の著書で紹介した運動麻痺の回復段階の評価方法です。

BRSの本

非常に古いですが、評価が簡便であることや回復段階が経時的に評価できること、予後予測にも使用できるなどの利点から臨床ではよく使われています。

Brunnstrom Recovery Stageを用いた予後予測の関連ページは以下をご参照ください
(関連ページ)
脳卒中片麻痺患者の運動麻痺の最終帰結を予測する
運動麻痺の改善とプラトーまでの期間
脳卒中リハビリテーション患者の早期自立度予測

私もこの評価は毎日使用していますが、Brunnstromの本に記載されている内容は忘れることが多く、評価がオリジナルになってしまうことがあるので自分の確認用にまとめています。

原著通りに評価を行わなければ、検者間の評価方法が異なってしまうために同じ評価を行っても検者間の評価結果が異なってしまったり、評価に再現性がないために結果を元に治療効果判定や経過を追うことができない、予後予測にも使えないなどの問題が出てきてしまうため、評価は正確に行えるようにしておきたいものです。



スポンサードリンク





■目次


 ▶評価の基本
 ▶上肢(肩および肘)の運動テスト
 ▶手指の運動テスト
 ▶下肢の運動テスト
 ▶注意点
 ▶参考資料



評価の基本


まずは、各ステージの定義は以下のように決められていることを頭にいれておきましょう。
上肢、手指、下肢のどれも同じ定義であり、後はそれぞれのテストの方法を覚えるだけで良いです。

[Stage1]
弛緩麻痺

[Stage2]
基本的な共同運動、または共同運動の要素のいくつかが連合反応として現れるか、最小の随意運動の反応が現れる。
この時には痙縮が発達し始める。

[Stage3]
共同運動を随意的に行え(必ずしもすべての共同運動の要素がすべての共同運動の要素が可動範囲の全域にわたって行える必要はない)。
痙縮はさらに増大し、重度になってくる。

[Stage4]
いずれの共同運動にも従わないいくつかの運動の組み合わせが、困難であるができるようになり、徐々に容易になっていき、痙縮は減少しはじめる。

[Stage5]
基本的な四肢の共同運動が、運動時にその優位性を失っていくので、より難しい運動の組合せができるようになってくる。

[Stage6]
痙縮の消失により、個々の関節運動が可能になり、協調性が正常に近づいていく近づいていく。

Stage4~6は全て共同運動からの分離の時期です。Stageが上昇するにつれて随意運動が強くなり痙縮が軽減していきます。

基本的共同運動パターン


Brunnstromはこの6つの段階の評価方法が患者の回復段階を反映するかを確認するため、118名の患者を用いて評価の信頼性を検証しました。
結果は、どの患者も6つの回復段階のなかの1つ、または2つに分類ができ、評価表は回復過程の基準に一致するものでした。

また、経過中に何度か評価が行われていますが、1人として段階を飛び越えることはありませんでした。

段階間で絶対的な境界線を引くことはできず、いくつかの症例ではStage2~3、4~5、5~6のような分類を示しました。
これは、一つの段階から次の段階に移行する時期を示すこともできるものと考えられました。



Brunnstromの評価は上肢、手指、下肢に分けて行います。
ここからは、各評価方法の詳細を掲載しています。

なお、各Stageにはいくつかのテストが用意されていますが、そのテストの一つでもできれば次のStageに移ることを覚えておきましょう。

目次にもどる



上肢(肩および肘)の運動テスト


[Stage1]
患側上肢に随意運動が全く触れない。
体幹の運動はやや可能であるが、こまかな検査をするにはまだ十分ではない場合がしばしばある。
他動的に動かすと重く感じられ、運動に対する抵抗は殆どかあるいは感じられない。

[Stage2]
基本的共同運動、または要素が連合反応として、あるいは患者自身の随意的運動により出現してくる。
痙縮は発現しているが、著明ではない。

[Stage3]
基本的共同運動、または要素が随意的に行われ、はっきりと関節運動を示すようになる。痙縮は増大し、この段階では著明である。
屈曲共同運動をまず最初に検査し、患者には“耳の後ろを手で搔くようにしてみなさい”というような指示を与えて肩の外転、外旋、肘の屈曲と回外を行わせる(肩甲骨の挙上、後退は必ずしも自動的にはあらわれない)。
伸展共同運動は、患者の両膝の間に置いた検者の手掌に触れるように命令して、前方、下側方向に手を伸展させてやるようにする。

[Stage4]
Stege3の基本的共同運動から逸脱したいくつかの組合せが可能となり、以下の3つで評価する。
①腰の後ろにてをもっていく
②前方水平位に腕を挙上する:肘は完全伸展位されていなければらない
③肘90°屈曲位で前腕の回内外をおこなう:肩の外転が生じると重力の影響で前腕が回内位になってしまうたため肘を対側にきちんと保持した状態で行ってもらう

[Stage5]
痙縮が減弱し基本的共同運動パターンから比較的独立しており、より難しい運動の組合せができるようになって個別的な関節運動が可能になってくるが、患者はこれを行うために相当集中しなくてはならない。
以下の3つで評価し、どのテストも肘は完全伸展位で行われなければらない。
①横水平位に腕を挙上する
②前方頭上に腕を挙上する
③肘伸展位で回内外をおこなう:前方水平位と横水平位に腕をあげさせておこなう

[Stage6]
分離した関節運動が自由にできるようになり、非麻痺側と同じように麻痺側が動かせる。
しかし、自動運動スピードをあげておこなわせるとぎこちなさがみられる。

[Speed test]
回復段階のいずれかにおける痙縮を検査するために使用される。
テストに使用される運動は、屈筋や伸筋共同運動によく似ているので、屈曲運動から完全に独立している必要はない。
このテストはStage4~6で適応され、以下の2つの運動が使われている。

①手を大腿から顎へもっていく:肘の屈曲が完全にできなければならない
②手を大腿から反対側の膝へもっていく:肘の完全伸展ができなければならない

両テストとも、背もたれ座位にてテストする手を大腿の上におき、手をかるく握る。
①では、前腕を回内外中間位から開始し、手が顎に触れた時は母指と人差し指との間の部分に顎があたるように行う。
②では、前腕回内位から開始し、握った手で運動を行うときには一定の場所に正確に触れるようにしなければならない。
ストップウォッチを使用し、5秒間で反復できる回数を、非麻痺側と麻痺側でそれぞれ数える。
スピードが遅い時には痙縮が著明であり、このテストによって肘の屈筋、伸筋の痙縮の情報を得ることができる。
痙縮についてもっと詳しいことが知りたい時には、他の筋グループについてテストをすることもできる。

目次にもどる


手指の運動テスト


[Stage1]
弛緩麻痺

[Stage2]
自動的手指屈曲がわずかに可能か、全然できない。

[Stage3]
全指同時握り、鉤形握り(ハンドバッグをさげて持つような握り方)で握ることはできるが、離すことができない。
随意的手指伸展不能で、反射による伸展は可能である。

[Stage4]
(母指と示指の間でカードを挟むような)横つまみは可能だが、母指を動かして放すことは不可能。
半随意的手指伸展は少範囲で可能である。

[Stage5]
対立つまみ(親指と各指の指腹を合わせられる)、筒握り(筒を握るような握り方)、球握り(ボールを握るような握り方)はだいたいできる。
動きは不器用で、機能的な使用は性下されている。
随意的な伸展は可能だが、その範囲は一定しない。

[Stage6]
すべての種類の握りが可能になり、巧緻性も改善し、全可動域の伸展ができる。個別の手指の運動は、非麻痺側に比べて正確さは劣るけども可能。

目次にもどる



下肢の運動テスト


最初は背臥位でテストし、それから座位、立位で行う。

[Stage1]
弛緩麻痺

[Stage2]
下肢のわずかな随意運動。

[Stage3]
座位や立位での股、膝、足の屈曲ができる。

[Stage4]
以下の2つのどちらかができる。

①座位で膝を90°以上屈曲して、足を床の後方にすべらせる。
②座位で踵を床から離さず随意的に足背屈が可能。

[Stage5]
以下の2つのどちらかができる。

①立位で股伸展位、またはそれに近い状態で膝屈曲を分離運動として可能。
②立位で膝伸展位、足を前方に踏み出した姿勢となり、足背屈が分離運動として可能。

[Stage6]
以下の2つのどちらかができる。

①立位で股外転が骨盤の挙上による範囲を越えて可能。
②座位で内側および外側ハムストリングスの交互運動による膝における下腿の内外旋が、足内反と足外反を伴って可能(→半腱様筋と大腿二頭筋の交互収縮が、膝下部の腱を触れることによって確かめられる)。

目次にもどる



注意点


Brunnstrom Recovery Stageは臨床現場で頻繁に用いられていますが、評価法として多々問題があります。

「実際にテストしてみたけど、これってStage3?それともStege4??」なんてことは頻繁にあります。



評価方法が違うのか?



いえ・・・そんなことはありません。



Brunnstromの評価法はそういうところの規定がないので、そう思うのが正解なんですね。


このようなBrunnstromの評価法の問題に関しては、以下の記事に詳細を掲載しておりますのでそちらをご参照ください。
以下の記事には、上田敏先生がBrunnstromの問題点を基に考案された片麻痺機能検査の内容がまとめてあります。
運動麻痺の評価法 上田式12段階片麻痺機能検査

目次にもどる




参考資料


1)片麻痺の運動療法 [ シグネ・ブルンストローム ]:片麻痺の運動療法.医歯薬出版.1990

目次にもどる
関連記事

スポンサードリンク

コメント

非公開コメント