2016/04/18

運動麻痺の評価法 上田式12段階片麻痺機能検査






■目次


 ▶上田式12段階片麻痺機能検査とは
 ▶運度麻痺の評価がBrunnstrom Recovery Stageだけでは不十分な理由
 ▶上田式12段階片麻痺機能検査の評価法
 ▶Brunnstrom Recovery Stageからみた上田12段階片麻痺機能テストの改善点と利点
 ▶参考資料
 ▶運動麻痺回復のためのおすすめ書籍



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上田式12段階片麻痺機能検査とは


上田式12段階片麻痺機能検査は、運動麻痺の評価法であるBrunnstrom Recovery Stageをベースに12段階化して感度を高め、この欠点を補完するために開発された検査です。
Brunnstrom Recovery Stageがわからない方は以前にアップしたこちらの記事もご参照ください。
(関連記事)
Brunnstrom Recovery Stage運動麻痺の評価

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運度麻痺の評価がBrunnstrom Recovery Stageだけでは不十分な理由


Brunnstrom Recovery Stageには以下のような欠点があります。
上田式12段階片麻痺機能検査の評価は、この欠点を補完するためにつくられました。

個々のサブテストの可、不可の判断基準が明確ではない(例:Stage Vのサブテスト「肘伸展での肩外転」では、肘が少しでも屈曲していれば不可となるか、肩外転が90°できず80°程度にとどまる場合に可とするか不可とするかなど)
②各サブテストの成績を総合的に判定してStageⅠからVIまでの6段階に分類するが、その総合判定の基準が明確でなく検者によって評価が一定しない(例:Stage Ⅳ、Ⅴを決定するためのサブテストは各3個あるが、そのうち1個ができればそのStageとしてよいのかどうか、またStageIVのサブテストが2個しかできないのにStageVのサブテストが1個できたような場合にStageVとしてよいのかなど)。
StageⅥの規定である「運動の協調ほぼ正常」(上肢)を具体的には何で判定するのか不明(Brunnstromテストにはスピードテストが含まれているが、それとStageとの関係は明確でなく参考的なものにとどまる)。
④上肢と下肢のテストの間に一貫性がない。上肢のテストは多数例についての検討の結果としてかなり帰納的に作られたとみられ、改訂もなされている。しかし、下肢は説明も簡単で十分な検討があったかどうか不明である。さらに、下肢のStage分けの原理は上肢と異なり、StageVIは協調性による規定ではなく、IVとVのサブテスト数も各2個と上肢より少ない。
サブテストの難易順の再検討が必要(例:上肢StageⅣのサブテストのうち「肘屈曲位前腕回内外」は回内動作が特に難しいが、StageVのサブテストである「肘伸展位肩外転」の方がしばしばより容易におこなわれる)。
⑥実際には10数個のサブテストを検査しているが、6段階評価では幅が狭い。(例:StageⅢでは範囲が非常に広く、同じⅢといってもその初期(肘のわずかな屈曲が可能な程度)と完成期(屈筋、伸筋の両共同運動パターンが共に十分に可能)とでは機能上、ADL上もきわめて大きな差がある。さらに、完成期に到達するまではかなりの時間を要すること多く、これはStageⅣやⅤについても同様のことが言え得る。臨床現場では、便宜的に「StageⅢの初期」、「StageⅣの中期」などの表現が行われており、結果的にほぼ10数段階に及ぶ細分化された評価が行われているが、それらの細分化の基準が明確でないため、不明確なStage分けにさらにあいまいさを持ち込む結果になっている。

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上田式12段階片麻痺機能検査の評価法


では、実際に上田式12段階片麻痺機能検査の評価方法をご説明します。
運動麻痺の評価は、上肢と下肢について以下の図に挙げた11のサブテストを行います。
各サブテストは「不可能」「不十分」「十分」で評価し、総合判定に従って運動麻痺の程度の判定を決定します。
グレード12は、サブテスト11を用い、Brunnstrom Recovery Stageでも使用されていたスピードテストの判断条件を規定したものが用いられています。

上田12段階片麻痺機能テスト 上肢


上田12段階片麻痺機能テスト 下肢


上田12段階片麻痺機能テスト 上下肢総合判定


なお、拘縮などで上記のサブテストが困難な場合、一部は以下の予備テストの使用を検討してもよいです。
ただし、これは正規のテストの施行が困難な場合にのみに限り、安易に行ってはならないと上田先生は原文で述べられています。

上田12段階片麻痺機能テスト 上下肢予備テスト

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Brunnstrom Recovery Stageからみた上田12段階片麻痺機能テストの改善点と利点


上述の内容をまとめると、Brunnstrom Recovery Stageからみた上田12段階片麻痺機能テストの改善点と利点は以下の通りになります。
・個々の判断基準を明確にした
・総合判定の基準を明確にした
・上下肢伴にStageⅥ(グレード12)の判断はスピードテストを用いて協調性を評価するようにした(一貫性を持たせた)
・難易度の再検討が行われ各サブテストの難易度の程度の間隔も同程度に設定した
・段階を12段階まで増やしたが信頼性と妥当性は高かった
・段階を増やしたことで臨床上の変化が客観的尺度で測れるようになった
・Brunnstrom Recovery Stageの2.4倍の精度で片麻痺の回復過程を段階分けすることができた

今回、運動麻痺の評価法として、上田式12段階片麻痺機能テストを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
サブテストが11個もあるので覚えにくいですが、多用しているBrunnstrom Recovery Stageにも類似していますし、変換もできます。
先に述べたような上田式12段階片麻痺機能テストの利点から、この評価法の臨床上のメリットは非常に高いため、運動麻痺の評価の第一選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

なお、Brunnstrom Recovery Stageと上田式12段階片麻痺機能検査の運動麻痺の評価法は予後予測としても使用できます。
超急性期から予後予測を行うことを考えると、Brunnstrom Recovery Stageは端座位をとらないとStage4以上の評価は行えませんので、臥位でも評価できる上田式12段階片麻痺機能検査を使ってBrunnstrom Recovery Stageに変換して使ってもいいかもしれませんね。
評価方法が十分に理解できたら実際に評価してみて、この結果も有効活用しましょう。
(関連記事)
脳卒中片麻痺患者の運動麻痺の最終帰結を予測する
運動麻痺の改善とプラトーまでの期間
脳卒中リハビリテーション患者の早期自立度予測

麻痺の程度が軽症か重症かといった程度であれば、脳画像をみてもわかりますのでこちらの記事もご参考になるかと思います。
(関連記事)
皮質脊髄路(錐体路)の走行と脳画像の見方

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参考資料


1)上田敏,福屋靖子,他:片麻痺機能テストの標準化―12段階「片麻痺回復グレード」法―.総合リハビリテーション.1977;5(10):749-766.
2)細田多穂,柳澤健:理学療法ハンドブック 第1巻 理学療法の基礎と評価.協同医書出版社.東京.2010.

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運動麻痺回復のためのおすすめ書籍



脳卒中ガイドライン2015にも掲載されるほどになった「促通反復療法」の原理・原則、方法が説明されています。促通反復療法はエビデンスが構築されている点で徒手的な運動麻痺回復の手技として今のところは間違いないナンバーワン。僕もこの手技を電気刺激療法や振動刺激療法などと併用しながら臨床でよく使います。個人的には、これらである程度随意性を引き出して随意アシストの電気刺激療法を用いると最も治療効果が高いと思います。




現状はエビデンスが悪い治療法である印象が強いことは否めませんが、治療の考え方や評価、患者さんとの関わりは非常に参考になります。僕の学生時代は脳卒中のバイブル本となっていました。誰もが持っていたと言っても良い本ではないでしょうか?ただ、ボバースは患者指導や誘導の仕方がかなり難しく、治療自体に時間がかかるという大きな問題がであり、今は上記の電気刺激、促通反復、ロボティクスアシストが誰でも効果を出せるという点では優位になっているかと思います。しかしながら・・患者さんに自分の体を認識していただいて治療を行なっていくという面では、治療者によっては長期的に良い効果が出るかもしれませんね。書籍の内容自体はかなり参考になります。


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