2016/11/16

くも膜下出血② 重症度分類( H&H/ H&K/ WFNS/ fisher )






前回は脳卒中データバンク2015の結果をベースに、くも膜下出血の疫学に関して掲載しました。
(関連記事)
くも膜下出血① 疫学(発症頻度・性差と年齢・動脈瘤部位・予後)

今回は、くも膜下出血の重症度分類として国際的に活用されているHunt and Hess分類、Hunt and Kosnik 分類、世界脳神経外科連合の分類(WFNS)と、発症後の脳血管攣縮の予測としてよく用いられているfisherによる分類に関する記事です。



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■目次


 ▶Hunt and Hess分類
 ▶Hunt and Kosnik 分類
 ▶世界脳神経外科連合の分類(WFNS)
 ▶fisherのCT分類
 ▶参考資料


Hunt and Hess分類(1968)


評価方法は以下の通りですが、現在ではこのH&Hの分類よりも後述のH&Kの分類の方が臨床的によく用いられています。

Grade Ⅰ:無症状か、最小限の頭痛および軽度の項部硬直をみる
Grade Ⅱ:中等度から強度の頭痛、項部硬直をみるが、脳神経麻痺以外の神経学的失調はみられない
Grade Ⅲ:傾眠状態、錯乱状態、または軽度の巣症状を示すもの
Grade Ⅳ:昏迷状態で、中等度から重篤な片麻痺があり、早期除脳硬直および自律神経障害を伴うこともある
Grade Ⅴ:深昏睡状態で除脳硬直を示し、瀕死の様相を示すもの

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Hunt and Kosnik分類(1974)


この分類はH&Hとベースが同じです。違いは、H&KにGrade0とIaが追加されていることと、「重篤な全身性疾患、たとえば高血圧、糖尿病、著明な動脈硬化、または慢性肺疾患、または脳血管造影でみられる頭蓋内血管攣縮が著明な場合には、重症度を1段階悪いほうに移す。」という注釈が加えられていることです。

Grade 0:未破裂の動脈瘤
Grade Ⅰ:無症状か、最小限の頭痛および軽度の項部硬直をみる
Grade Ⅰa:急性の髄膜あるいは脳症状をみないが、固定した神経学的失調のあるもの
Grade Ⅱ:中等度から強度の頭痛、項部硬直をみるが、脳神経麻痺以外の神経学的失調はみられない
Grade Ⅲ:傾眠状態、錯乱状態、または軽度の巣症状を示すもの
Grade Ⅳ:昏迷状態で、中等度から重篤な片麻痺があり、早期除脳硬直および自律神経障害を伴うこともある
Grade Ⅴ:深昏睡状態で除脳硬直を示し、瀕死の様相を示すもの

※重篤な全身性疾患、たとえば高血圧、糖尿病、著明な動脈硬化、または慢性肺疾患、または脳血管造影でみられる頭蓋内血管攣縮が著明な場合には、重症度を1段階悪いほうに移す。

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WFNS分類(1983)


意識障害と局所神経学的症状(失語あるいは片麻痺)によりグレードを評価します。

GradeⅠ:GCS 15 主要な局所神経症状なし
GradeⅡ:14-13 主要な局所神経症状なし
GradeⅢ:14-13 主要な局所神経症状あり
GradeⅣ:12-7 主要な局所神経症状の有無は不問
GradeⅤ:6-3 主要な局所神経症状の有無は不問

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Fisher分類


重症度の分類とは少し趣旨が異なりますが、FisherのCT分類はくも膜下出血後の合併症である脳血管攣縮の発生を予測するための分類としてよく用いられています。
CTを用いてくも膜下腔への出血の程度、脳内・脳室内の血腫の有無の評価を行い分類します。

group1:CTでは出血なし
group2:くも膜下腔にびまん性に1mm以内の薄い出血あり
group3:くも膜下腔にびまん性に1mm以上の厚い出血あり
group4:くも膜下出血は軽度で脳内あるいは脳室内の血腫を伴うもの

一般的に、くも膜下腔への出血量が多ければ多いほど脳血管攣縮が発生しやすいことが報告されています。

近年発表された脳卒中データバンク2015の結果では、一過性のものを含むと開頭手術群においてgroup 1で13.7%、2で18.3%、3で29.4%、4で22.1%とgroup3に多い傾向を示し、血管内治療群においてはgroup1で5.3%、2で9.1%、3で23.1%、4で22.9%とgroup3と4で多いことが確認されました。

脳血管攣縮の頻度による神経損傷は機能予後、生命予後に直接的に影響することが報告されており、くも膜下出血発症後の二次的合併症の中でも脳血管攣縮は特に厳重に管理をすることが重要視されています。

ただし、fisher分類はgroupが高いほど予後が悪いとは限りません。

なぜなら、脳卒中データバンク2015の結果では、group1から4にかけて全体的に悪くなる傾向はありましたが、group3はmRSでみると0~5の幅広い範囲に患者が分布しており予後の良し悪しにバラツキがあったからです。

group4に関しては、mRS3~6に分布が集中しており、他のgroupに比べると予後が悪い結果となっており、group4は予後が不良になる事が示唆されています。

group4は脳内出血や脳室内出血を合併するため、これらがくも膜下出血の予後不良に関連しているものと思われます。

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参考資料
1)Hunt WE, Hess RM. Surgical risk as related to time of intervention in the repair of intracranial aneurysms. J Neurosurg 1968;28:14-20.
2)Hunt WE, Kosnik EJ. Timing and perioperative care in intracranial aneurysm surgery. Clin Neurosurg 1974;21:79-89.
Report of World Federation of Neurological Surgeons Committee on a Universal Subarachnoid Hemorrhage Grading Scale. J Neurosurg 1988;68:985-986.
3)Report of World Federation of Neurological Surgeons Committee on a Universal Subarachnoid Hemorrhage Grading Scale. J Neurosurg 1988;68:985-986.
4)脳卒中データバンク 2015


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