2016/12/03

心室期外収縮の重症度を分類するLown分類の使用方法






■目次


 ▶Lown分類とは
 ▶心室期外収縮
 ▶Lown分類(表)
 ▶重症度の運動療法への利用
 ▶参考資料



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Lown分類とは


Lown分類は、心室期外収縮の重症度を表す分類です。

運動療法を施行する際、運動療法を継続するのか中止するかの判断に役立ちます。

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心室期外収縮


心臓は、心房の洞結節→房室結節→ヒス束→左脚・右脚→プルキンエ線維(心室)の流れで順々に興奮し心筋が収縮することで効果的に血液を全身へ送り出しています。

心室期外収縮は、この洞結節から流れてくる興奮よりも早く、心室側で興奮が発生してしまうもの(不整脈)です。

Lown分類を見る前に、まずは心室期外収縮の心電図の特徴を復習しておきましょう。


心室期外収縮の特徴

心室期外収縮の重症度を分類するLown分類の使用方法 心室期外収縮

①リズムが不整(通常よりも波形が早く出現しRR間隔が短くなる)
②P波が消失する(出るがわかりにくい)
③QRS波は幅が広い(0.12秒以上)
④T波がQRS波と反対方向を向く


心室期外収縮は、特にQRS波の幅が広がって大きく見えるところが特徴的でわかりやすいです。

心電図を意識せずに見ていた場合でもぱっと見て分かるぐらいの波形を呈しています。

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Lown分類


Lown分類は、心室期外収縮の重症度を以下の7つの段階に分けています。

0 :心室期外収縮なし
Ⅰ:一源性心室期外収縮が1時間に30回未満
Ⅱ:一源性心室期外収縮が1時間に30回以上
Ⅲ:多源性心室期外収縮
Ⅳa:心室期外収縮が2連発
Ⅳb:心室期外収縮が3連発以上
Ⅴ:R on T

0~Ⅱまではポンプ機能が保たれ、Ⅲ以上では心房細動、心室頻拍や心室細動といったポンプ機能が著しく保たれなくなるような致死性不整脈に移行しやすいです。

「一源性」とは、心電図でいうと同じ形の心室性期外収縮が出るような場合です。


「多源性」とは、心電図でいうと違う形の心室性期外収縮が二種類以上出るような場合です。
多源性が示す意味は、心室で不整脈を発生させている部分が二箇所以上あるということになるので、心室の沢山の場所でテロが起こっているようなイメージになります。
一源性であれば一箇所で起こっているので(回数が増えすぎなければ)まだ良いですが、多源性で何箇所もの場所でテロが起こっていたら、それだけ重症な事態になる可能性が高い、つまり重症不整脈に移行する可能性が高いということになりますので、このような場合は特に注意が必要です。
心室期外収縮の重症度を分類するLown分類の使用方法 多源性期外収縮


「連発」はその名の通り、心室期外収縮が連続で起こるもののことです。2連発は2回、3連発は3回連続で心室期外収縮がでることをいいます。
ちなみに、3連発以上は心室頻拍といいます。
心室期外収縮の重症度を分類するLown分類の使用方法 心室期外収縮 2連発

心室期外収縮の重症度を分類するLown分類の使用方法 心室期外収縮 3連発(心室頻拍)


「R on T」もその名の通り、T波の上にR波が乗っかる(被る)ようなもののことです。
心室期外収縮が出たとき、このR波が前の波形のT波に乗っかってくる状況をいいます。
R on Tが生じると、そこから途端に重症不整脈に移行する可能性が非常に高いので、最も注意しなければなりません。

心室細動に移行する前にはこのR on Tが観察されることが非常に多いといわれています。

心室期外収縮の重症度を分類するLown分類の使用方法 R on T



心室細動について

心室細動は、心室内での興奮が無秩序に行われているようなもので、このような状態になるともう心臓からの拍出はできていない状態、つまり心停止と同様のきわめて危険な状態です。

心肺蘇生、除細動を直ちに行わなければならない状態ですので絶対に見落とさないようにしましょう。


運動中に心電図モニターを使用していると、ノイズが入って心室細動みたいだなーなんてよく思うことがあるかもしれませんが、心室細動が起こると脈が触れなくなり、血圧が顕著に低下、数分で意識消失を呈しますので直ぐわかると思います。


・・意識が消失するまで気付かないなんてことは絶対にないようにしましょうね。



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重症度の運動療法への利用


米国スポーツ医学会(American College of Sports Medicine:ACSM)では、運動トレーニングの中止基準としてLown分類Ⅱ以上をあげています。


1)心室頻拍(3連発以上)
2)R on T の心室期外収縮
3)頻発する単一源性心室期外収縮(30%以上)
4)頻発する多源性の心室期外収縮(30%以上)
5)2連発(1分間に2回以上)



一般的にはLown分類Ⅳaまで、つまり心室期外収縮が2連発までは慎重に観察しながら運動療法を行うことが多いです。

仮に運動療法中にLown分類Ⅳb以上の場合が出現してしまった場合には、運動療法を直ちに中止し、医師に連絡を行いましょう。

ここで、Ⅳaまでは運動療法を行うことが多いといいましたが、「慎重に観察しながら行う」ということころをしっかりと覚えておいてください。

具体的な観察は以下の項目になるかと思われます。どれの所見も適切な拍出が保たれているかをみるためのものですね。

①心電図:負荷に伴う不整脈の増大
②脈拍:心電図の心拍数と脈拍数の解離の増大、脈圧の低下
③血圧:低下
④観察所見:意識レベル・認知機能低下
⑤その他:四肢冷感の出現・増悪、倦怠感・息切れなどの自覚症状、血液検査データ(BNP、Cr、BUN、肝機能など)、胸部Xp、日々の体重変化などなど…


特に、開胸術後、狭心性や心筋梗塞後のリハ実施時には不整脈の出現、増加に留意しましょう。

例えば、運動療法を施行する前(安静時)に不整脈が存在せず、脈圧や血圧が良好な場合で、運動療法施行時に不整脈が誘発され脈圧や血圧が乱れるような場合、運動負荷を加えたことによって心筋虚血が誘発されていることが疑われます。

心筋虚血は心電図モニターを装着していればいち早くモニタリングできますので、そのような症例は必ず装着していることと思います。

運動療法の施行中には常時チェックしましょう。

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参考資料


1)理学療法リスク管理マニュアル第3版 [ 聖マリアンナ医科大学病院 ]
2)病気がみえる vol.2
3)ハート先生の心電図講座ONLINE

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