2017/02/27

重症筋無力症 ~診断編~






記事作成者:nocchiyan 
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重症筋無力症の応用編です。今回は診断についてまとめてみました。

この記事を初めてお読みになる方は、以前にアップした入門編からみていただくと重症筋無力症の概要がわかりますので、そちらもご参照ください。
重症筋無力症 ~入門編~

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■目次


 ▶1、診断
 ▶2、症状
 ▶3、病型
 ▶4、自己抗体
 ▶5、参考資料



1、診断


重症筋無力症の診断には、易疲労感ならびに日内変動を伴う臨床症状と抗AChR抗体測定が必要です。


電気生理学的な検査では末梢神経の低頻度連続刺激により、一部の筋繊維が神経ブロックを陥った漸減現象(waning)がみられます。


正確な電気生理学的診断には単一線維筋電図が必要で、筋繊維電位にゆらぎを確認することによりMGにおける診断感度は99%となります。


そのほかにはベッドサイドでエドロホニウムを静注することで重症筋無力症の症状改善を確認することもあります。


副作用の少なさから抗コリンエステラーゼ阻害薬による自覚症状の改善でも十分であるという意見もあります。


重症筋無力症 診療ガイドライン2014作成委員会で検討された重症筋無力症の診断基準眼2013(新診断基準案)というものがあります。内容は以下に掲載します。

A. 症状
(1) 眼瞼下垂
(2) 眼球運動障害
(3) 顔面筋力低下
(4) 構音障害
(5) 嚥下障害
(6) 咀嚼障害
(7) 頸部筋力低下
(8) 四肢筋力低下
(9) 呼吸障害
<補足>上記症状は易疲労性や日内変動を呈する
B. 病原性自己抗体
(1) アセチルコリン受容体(AchR)抗体陽性
(2) 筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)抗体陽性
C. 神経筋接合部障害
(1) 眼瞼の易疲労性試験陽性
(2) アイスパック試験陽性
(3) 塩酸エドロホニウム(テンシロン)試験陽性
(4) 反復刺激試験陽性
(5) 単線維筋電図でジッターの増大
D. 判定
 以下のいずれかの場合、重症筋無力症と診断する
(1) Aの1つ以上があり、かつBのいずれかが認められる
(2) Aの1つ以上があり、かつCのいずれかが認められ、他の疾患が鑑別できる

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2、症状


重症筋無力症は20~40代女性に多く、易疲労性と筋力低下をきたし、日内変動、日差変動が特徴的です。


基本的には小児から高齢者まで発症し、特に高齢発症における新規発症の頻度が増加傾向です。


神経症状は、眼瞼下垂、眼球運動障害(複視)、表情筋筋力低下、構音障害、嚥下障害、頸部・四肢筋力低下、および、呼吸不全(クリーゼ)など。


臨床的に、眼症状のみの眼筋型と四肢筋・嚥下・呼吸筋まで障害される全身型に分類されます。

重症筋無力症の患者の約半数は、発症時に眼筋症状のみを呈しますが、そのうち50~60%が発症2年以内に全身型に進展します。発症2年以上では全身型へ進展する頻度が少なくなります。

分類ごとの症状としては、1/3が眼症状のみに限局する眼筋型(眼瞼下垂、外眼筋麻痺、複視)、2/3が全身型(加えて四肢近位筋の易疲労性、嚥下障害、構音障害、咀嚼疲労、頸部筋力低下、呼吸筋麻痺など)といわれています。


球症状や呼吸筋障害が出現する場合は重篤です。


神経筋接合部の症状以外にも抑うつや頭痛など、一見すると重症筋無力症とは無関係と思われる多彩な症状の出現にも注意が必要です。


免疫システムの調節異常を背景に約15%の患者で他の自己免疫疾患を合併します。

頻度の高いものとしてバセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患や慢性関節リウマチがあります。

そのほかには、胸腺腫関連重症筋無力症で、T細胞機能異常を背景とする赤芽球癆、低γグロブリン血症、円形脱毛、味覚障害、心筋炎など非骨格筋発症が経過中に認める場合があります。


[※ここでの言葉の定義]
・易疲労性とは、運動の反復に伴い骨格筋の筋力低下を低下すること
・日内変動とは、夕方に症状が変動すること
・日差変動とは、日によって症状が変動すること

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3、病型



非胸腺腫重症筋無力症をearly-onsetとlate-onset(発症年齢の区切りは50歳)に分けます。
さらに胸腺腫関連重症筋無力症(Thymoma-associated)を加えた3群に分けます。(表1)


重症筋無力症3病型の比較


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4、自己抗体


病原性自己抗体の種類によって3群に分類されます。


① 約80%のAChR抗体陽性重症筋無力症
② 5~10%の抗MuSK抗体陽性
③ その残りの両抗体陰性(double seronegative)重症筋無力症




抗MuSK抗体陽性重症筋無力症は女性に多く、症状は眼筋型・球麻痺型が多く、クリーゼを来たすことが多いです。


さらに、抗MuSK抗体陽性重症筋無力症では胸腺腫の合併を認めないと報告されています。


治療としてはこうAChR抗体陽性重症筋無力症では抗コリンエステラーゼ薬がよく効くのに対して、抗MuSK抗体陽性重症筋無力症ではその効果が不定となっています。(表2)


AChR抗体陽性重症筋無力症と抗MuSK抗体陽性重症筋無力症の対比




以上で今回の重症筋無力症~診断編~は終わりです。
簡単にまとめたものなのでわかりにくいところも多々あったかと思いますが、最後までお読みいただきありがとうございました。

次回は重症筋無力症の“治療”について掲載します。興味がある方は最後まで読んでいただけると嬉しいです。


前回の重症筋無力症~重症度編~が気になる方はこちらからどうぞ。
重症筋無力症~重症度編~

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5、参考資料


1)鈴木、鈴木:重症筋無力症 神経・筋疾患の病態と診断・治療(Ⅲ)、医学と薬学、第68巻、第3号、2012.9 421-426
2)太田、本村:アセチルコリン受容体抗体陰性の重症筋無力症に認められる自己抗体 神経・筋疾患の最近の進歩(3)、Presented by Medical Online、62;3.2014 255-260
3)槍沢公明:重症筋無力症の診断、医学のあゆみ、Vol.255 No.5 2015,455-460

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