2017/07/30

パーキンソン病の病態把握のための評価方法 ~統一スケールUPDRS(Unified Parkin- son’s Disease Rating Scale)~





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記事作成者:nocchiyan 
NSCPT管理メンバー紹介



パーキンソン病統一スケール(Unified Parkin- son’s Disease Rating Scale:UPDRS)は、1987 年にパーキンソン病患者の病態を把握するための評価尺度として発表されました(Fahn et al.1987)。
国際的評価スケールとしての信頼性が高く治療の効果判定に使用されることが多いです。


今回はこのUPDRSの評価方法について掲載しています。





■目次



 ▶1、UPDRSの評価の概要
 ▶2、UPDRSの採点方法
 ▶3、UPDRSの評価内容
 ▶4、参考資料
 



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1、UPDRSの評価の概要


Part1:「精神機能、行動及び気分」(4 項目)問診により On 時または Off 時に関係 なく評価する。

Part2:「日常生活動作」(13 項目)問診により On 時又は Off 時に分けて評価する。

Part3:「運動能力検査」(14 項目)On 時に検査し評価する。

Part4:「治療の合併症」(11 項目)問診により評価する。



★ポイント!
OnとOffの違いで評価点数が変わります。つまり、UPDRSはOn時とOff時の2回評価しなければなりません。


>補足
原著では、第5部と第6部もあります。第 5 部は「Hoehn & Yahr 修正重症度分類」、第 6 部は「Schwab & England of Daily Living Scale」が収録されています。
「Hoehn & Yahr 修正重症度分類」では、従来の Hoehn & Yahr 重症度分類に Stage1。5:一側性パーキンソニズム+ 体幹障害、Stage 2。5:軽度両側性パーキンソニズム + 後方突進があるが自分で立ち直れる、の 2 つの Stage が追加されています。
「Schwab & England of Daily Living Scale」は ADL を 0%(全介助)から 100%(完全自立)までを 10%きざみで評価したものです。




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2、UPDRSの採点方法



UPDRSの評価は4つのパート(part3:精神機能・行動および気分、part2:日常生活動作、part3:運動試験、part4:治療の合併症)に分かれており、各パートの項目は全部で42項目あります。

Part1からPart3までは 0~4 の 5 段階、Part4のみ一部 0~1の 2 段階の評価になっている箇所がありますのでご注意ください。
※「0」は症状がない状態であり、「4」は症状が最重度の状態を示します。


各パートの合計点は以下の通りです。
◉Part1:0-16 点
◉Part2:On 時 Off 時各 0-52 点
◉Part3:0-108 点
◉Part4:0-23 点

これらの4つのパートを合計した点数で評価を行います。
合計点の範囲は0-251 点です。



★ポイント!
UPDRS はパーキンソン症状の重症度を数値化して示すものであり、症状がない場合のスコアは「0」となります。
また、基準値やカットオフ値などはありませんのでご注意ください。あくまで、重症度の程度を知る評価となります。

パート毎に小計を計算することで、精神機能・行動および気分、日常生活動作、運動試験、治療の合併症のどの項目に変化が見られたかどうかを評価することも可能です。

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3、UPDRSの評価内容


UPDRSの評価は0に近いほど正常となり、点数が高いほど症状ありまたは重度の症状ありと判定していきます。

Part3以外の評価方法はすべて問診となっています。





Part1:「精神機能、行動及び気分」(4 項目)問診により On 時または Off 時に関係 なく評価していきます。

Part1の小計の範囲は、0~16 点となっており、各項目0~4点となっています。



<1、知的機能の障害>
0:なし
1:軽度。健忘が一貫してみられるが部分的に思い出す。他の障害はない。
2:中等度の記銘力障害と見当識障害あり。複雑な問題への対処に中等度の障害。家庭内でも軽度ながら明らかに障害あり、ときに介助を必要とする。
3:重篤な記憶障害と時間と場所に対する見当識障害。問題の対処に重篤な障害。
4:重篤な記憶障害と見当識は人に対してのみ保たれている。判断や問題解決は不可能。身の回りのことにもかなりの介助が必要でひとりにしておけない。


<2、思考の障害(痴呆または薬物の中毒による)>
0:なし
1:生々しい夢をみる。
2:たちの良い幻覚・幻覚であることはわかっている。
3:時々あるいはしばしば幻覚・妄想があるが病識がない。日常生活に支障をきたすことあり。
4:持続的に幻覚・妄想あるいは病勢盛んな精神病がある。自分でケアをできない。


<3、抑うつ>
0:なし
1:ときに正常以上の悲しみや罪悪感に悩まされる。数日や数周続くことはない。
2:うつが1週間以上続く
3:不眠、食欲不振、体重減少、興味の消失をともなう抑うつ状態。
4:上記の症状に自殺念慮あるいは自殺企図をともなう。


<4、意欲・自発性>
0:正常
1:通常より受動的。より消極的。
2:選択的活動(ルーチンでない)を進んでおこなわない。興味の喪失。
3:日々の活動(ルーチン)を進んでおこなわない。興味の喪失。
4:引きこもり、意欲の完全な消失.




Part2:「日常生活動作」(13 項目)問診により On 時又は Off 時に分けて評価していきます。

Part2の小計の範囲は、On 時 Off 時各 0~52 点となっており、各項目0~4点となっています。


<5、会話>
0:正常
1:軽度の障害。理解するのに障害なし。
2:中等度の障害。ときどきもう一度くり返すように頼まれる。
3:高度の障害。しばしばもう一度くり返すように頼まれる。
4:ほとんどの時間、聞き取り不能。


<6、唾液>
0:正常
1:口中の唾液が軽度ながら明らかに増加。夜間の流涎をみることあり。
2:中等度に唾液が増加。軽度の流涎があることもある。
3:著明に唾液が増加。ときに流涎。
4:著明に流涎。ティッシューやハンカチを常に必要とする。


<7、嚥下>
0:正常
1:まれにむせる。
2:ときどきむせる。
3:柔らかい食事にしないとむせる。
4:鼻管や胃瘻でチューブフィーディング。


<8、書字>
0:正常
1:軽度書字が遅いか字が小さい。
2:中等度に遅いか字が小さい。すべての語は読める。
3:高度に障害。すべての語が読めるわけではない。
4:語の大多数は読めない。


<9、食べ物のカット・食器の取り扱い>
0:正常
1:いくらか遅くぎこちないが助けはいらない。
2:遅くぎこちないがたいていの食餌はカットできる。部分的に介助。
3:食べ物は他の人に切ってもらわないといけないがゆっくりと食べられる。
4:他人に食べさせられる。


<10、着衣>
0:正常
1:いくらか遅いが介助は要しない。
2:ボタンを留める、袖に腕を通すなどで時に介助を要する。
3:いくらか自分でできることもあるがかなり介助が必要。
4:自分では何もできない。


<11、衛生(入浴・トイレ)>
0:正常
1:やや遅いが介助は要しない。
2:シャワーや入浴に介助を要する。とても遅い。 
3:洗顔・歯磨き・くし・風呂に行くなど介助を要する。
4:膀胱カテーテル


<12、寝返りおよびシーツをなおす>
0:正常
1:すこし遅く不器用だが介助は必要ない。
2:ひとりで寝返りをうったりシーツを直せるが大変な努力を要する。
3:寝返りやシーツをなおす動作は始められる。しかし完結できない。
4:自分ではまったくできない。


<13、転倒(すくみ現象とは関係なしに)>
0:なし
1:まれに転倒
2:時々転倒。平均して一日に一回はない。
3:平均して一日一回転倒。
4:一日数回転倒。


<14、歩行中のすくみ>
0:なし
1:歩行中にまれにすくみ.歩き始めにすくむことがある。
2:時々歩行中にすくむ。
3:しばしばすくむ。これにより時に転倒する。
4:しばしばすくみ足により転倒する。


<15、歩行>
0:なし
1:軽度障害。腕の振りが無かったり足を引きずることがある。
2:中等度障害。しかし介助はほとんどいらないか不要。
3:高度障害。介助を要する。
4:介助をもってしても歩行不能。


<16、振戦>
0:ない
1:軽度そしてまれにある。患者にとっては煩わしくない。
2:中等度。患者は気になる。
3:高度。多くの日常生活動作ができない。
4:著明。ほとんどの日常生活動作が妨げられる。


<17、パーキンソン症候群に関連した感覚障害>
0:なし
1:時々感覚鈍麻、ちくちく、または痛みを感じる。
2:しばしば感覚鈍麻、ちくちく、または痛みを感じる。苦痛ではない。
3:しばしば痛みを感じる。
4:耐え難い痛み。




Part3:「運動能力検査」(14 項目)On 時に検査し評価していきます。

Part3の小計の範囲は、0~108 点となっており、各項目0~4点となっています。

<18、言語>
0:正常
1:表現、用語、and/or 声量の軽度の障害がある。
2:中等度の障害、単調で不明瞭だが理解できる。
3:著しい障害。理解が困難。
4:理解不能


<19、顔の表情>
0:正常
1:わずかに表情が乏しい。ポーカーフェース。
2:軽度だがあきらかな表情の減少。
3:中等度の表情の乏しさ。口を閉じていないときがある。
4:仮面様で、ひどくあるいは完全に表情がない。口は0.6cm 以上開いている。


<20、安静時の振戦>
0:なし
1:わずかの振戦が、時に見られる程度。
2:軽度の振幅の振戦が常にある。または中等度の振幅の振戦がときどきある。
3:中等度の振戦がほとんどの時間ある。
4:高度の振戦がほとんどの時間ある。


<21、手の動作時または姿勢時振戦>
0:ない
1:軽度(動作にともなっておこる)。
2:中等度の振幅(動作にともなっておこる)。
3:中等度の振幅(動作時,姿勢時におこる)。
4:著明な振幅。食事が妨げられる。


<22、固縮(患者は座位で安静にしている.主要な関節で判断する.歯車現象は無視.)>
0:ない
1:軽微またはミラームーブメントないし他の運動で誘発できる程度。
2:軽度ないし中等度の固縮。
3:高度の固縮。しかし関節可動域は正常。
4:著明な固縮。関節可動域に制限あり。


<23、指タップ(親指と示指をなるべく大きく早くタップする.左右は別々に)>
0:正常(>=15/5秒)
1:少し遅いか、振幅が減少している(11-145秒)
2:中等度の障害。疲れやすい。ときどき運動が止まることがある(7-10/5秒)
3:著明な障害。はじめにしばしばすくむ。または運動中にとまる(3-6/5秒)
4:ほとんどできない(0-2/5秒)


<24、手の動作(できるだけ大きく素早く手の開閉をくり返す。左右は別々に)>
0:正常
1:すこし遅いか振幅が小さい。
2:中等度の障。すぐ疲れてしまう。ときに運動が止まることがあっても良い。
3:著明な障害。しばしば開始時にすくみ、運動が止まる
4:ほとんどできない。


<25、手の回内回外運動(垂直や水平の位置でできるだけ大きく、左右は別々に)>
0:正常
1:すこし遅いか振幅が小さい。
2:中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に止まっても良い。
3:著明な障害。しばしば開始時にすくむ、あるいは途中で止まる。
4:ほとんどできない。


<26、下肢の敏捷性、下肢をあげてかかとで床をタップする。かかとは7.5cm あげる>
0:正常
1:すこし遅いか振幅が小さい。
2:中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に止まっても良い。
3:著明な障害。しばしば開始時にすくむか運動が止まる。
4:ほとんどできない。


<27、イスから立ち上がる.(まっすぐの背もたれの木か金属のイス.腕を組んだまま
立ち上がる)>
0:正常
1:遅い。または1度でうまく行かないことあり。
2:肘掛けに腕をついて立ち上がる。
3:イスにふたたび倒れ込む。一度ではうまく行かないことあり。介助なしで立ち上がれる。
4:介助なしでは立ち上がれない。


<28、姿勢>
0:正常
1:軽度の前屈姿勢。高齢者では正常な程度。
2:中等度に前屈姿勢。明らかに異常。すこし左右一方に偏っていても良い。
3:高度に前屈姿勢で脊柱後彎(亀背)をともなう。中等度に左右一方に偏っていてよい。
4:高度の前屈姿勢。姿勢は極端に異常である。


<29、歩行>
0:正常
1:歩行は緩慢。数歩はひきずり足になる。加速歩行や前方突進はない。
2:歩行は困難をともなう。介助は要しない。加速歩行や数歩の前方突進あり。
3:いちじるしく障害。介助を要する。
4:介助があっても歩行不能。


<30、姿勢の安定性(患者はまっすぐに立ち、開眼し、足はすこし開いて準備する。肩を後方に勢いよく引いて後方突進現象をみる)>
0:正常
1:後方突進あり。自分で立ち直れる。
2:姿勢反射がおきない。検者が支えなければ倒れてしまう。
3:きわめて不安定。自然にバランスを失う。
4:介助なしでは立てない。


<31、からだの動作緩慢(動作緩慢、躊躇、腕の振りの減少、運動の振幅の減少と運動全体の少なさを総合的に評価する)>
0 なし
1:わずかに緩慢。ゆっくりとした動作。人によっては正常のこともある。運動の振
幅がやや小さいこともある。
2:軽度に動作が緩慢。運動量があきらかに低下している。運動の大きさがやや低下。
3:中等度に動作が緩慢。運動量が低下し、または運動の大きさが低下している。
4:著明に動作が緩慢。運動量の低下。または運動の大きさが低下している。




Part4:「治療の合併症」(11 項目)問診により評価していきます。

Part4の小計の範囲は、0~23 点となっており、0~4点と0~1点の項目があります。


↓ジスキネジア↓

<32、持続時間(起きている時間の何%か)>
0:なし
1:1-25%
2:26-50%
3:51-75%
4:76-100%


<33、ジスキネジアによる障害>
0:なし
1:軽度障害
2:中等度障害
3:重度に障害
4:完全な障害(なにもできない)


<34、痛みをともなうジスキネジア、どのくらい痛いか>
0:なし
1:軽度
2:中等度
3:重度
4:著明な障害


<35、早朝のジストニア>
0:なし
1:あり




↓症状の日内変動↓

<36、服薬時間から予測可能なオフ期間はあるか>
0:なし
1:あり


<37、服薬時間から予測不可能なオフ期間はあるか>
0:なし
1:あり


<38、突然(数秒以内など)おこるオフ期間はあるか>
0:なし
1:あり


<39、起きている時間の何%が平均してオフ期間か>
0:なし
1:1-25%
2:26-50%
3:51-75%
4:76-100%




↓その他の合併症状↓

<40、患者は食欲低下・嘔気・嘔吐をともなっているか>
0:なし
1:あり


<41、不眠や眠気があるか>
0:なし
1:あり


<42、起立性低血圧症状はあるか>
0:なし
1:あり



評価用紙をネットにアップしてくれている方がおられましたので、評価される際にはこちらを利用させていただいても良いかもしれません。
UPDRSの評価用紙 


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4、参考資料


1)Fahn S,Elton R,Members of the UPDRS Development Committee:Unified Parkinson’s Desease Rating Scale.in Recent Developments in Parkinson’sDisease,Vol2(ed by Fahn S,Marsden CD,Calne DB,Goldstein M).Macmillan Health Care information, Florham Park,NJ,1987;153-163,293-304


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最後までお読みいただきありがとうございました。


今回はパーキンソン病の代表的な評価スケールであるUPDRSをご紹介しました。パーキンソン病の評価法はいくつかありますので、今後は別の評価方法についても掲載していく予定です。
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