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2017/12/13

ALS(筋萎縮性側索硬化症)ってどういう病気?~概要:病型・症状・機序・進行速度(予後)について~





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記事作成者:nocchiyan 
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NSCPTのnochiyanです!お久しぶりの投稿になります。
今回は進行性難病の筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis:以下ALS)について掲載します。
内容が多いため、今回の記事では「ALSの概要」をお話しします。
記事を連載してアップしていきますので、興味がある方は最後まで読んでみてください。


それではALSについてご説明していきます。




■目次


 ▶1、ALSとは?
 ▶2、概要

 ▶3、病態と病型の把握
 ▶4、筋力低下の機序

 ▶5、ALSの神経領域と症候の関係
 ▶6、ALSの麻痺の進展パターンと進行速度

 ▶7、参考資料


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1、ALSとは?


上位運動ニューロン(upper motor neuron:UMN)および下位運動ニューロン(lower motor neuron:LMN)が選択的かつ系統的に変性する運動ニューロン疾患(motor neuron disease:MND)のことです。

典型的なALS患者では、初期症状として球麻痺を呈する場合が約25%、四肢筋力低下が約70%、体幹・呼吸障害が約5%の割合で発症します。


チェックポイント!

ALSでは末期に至るまで症状として認めない症状がありますので覚えておきましょう(図1)。

図1、ALS末期まで見られにくい症状



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2、概要


発症年齢:60~70歳代

平均寿命:壮年期から高齢期の発症だと平均余命は十数年程度

発病率:10万人に1.1~2.5人、有病率は10万人当たり7~11人

男女比:男性のほうが発症率が高く、女性に比べて1.3~1.4倍程度発症率が高い

その他:呼吸の神経筋制御の欠如・低下によって引き起こされる呼吸障害が特徴的であり、拘束性換気障害を呈する

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3、病態と病型の把握


前述した通り、ALSによる運動障害は随意運動の経路である皮質脊髄路の起始細胞の上位運動ニューロン〈以下:UMN〉と下位運動ニューロン〈以下:LMN〉が変性脱落することで生じます。

UMN徴候は筋緊張亢進や共同運動パターンなどがあり、LMN徴候は変性髄節に対応した線維性攣縮や筋萎縮、深部腱反射の減弱があります。

UMNが優位なものを原発側索硬化症(primary lateral screrosis:PLS)型と言い、LMN徴候が優位なものを進行形筋萎縮症(progressive muscular atrophy:PMA)型と言います(図2)。


図2、ALSによる運動障害の特徴




亜型として徴候が上肢のみに限局し他の部位の症状進行がきわめて緩徐なものはflail arm syndromeとされています。

徴候が現れている身体部位により上肢型下肢型球麻痺型呼吸筋麻痺型の4つに分類されています。


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4、筋力低下の機序


筋肉を支配する運動ニューロンが喪失するため、神経支配を受けなくなった筋線維は脱力や筋萎縮を生じます。

また、神経の再支配が生じても運動機能が正常に保たれるわけではなく、再支配が生じた幼若な軸索は神経筋接合部の機能も不十分なため易疲労性を呈しやすいです。




このような生理学的異常が生じているため、一般的にリハビリテーションの際は過負荷が禁止となることが多いです。


ただし、リハビリテーション時の過負荷が禁止と言っても、未だ明確な指標は示されていません。臨床では、一般的に患者の自覚的疲労感を具体的に評価するBorgスケールやVASなどを用いたり、筋肉痛などを指標として患者さんの負荷量を評価しながら調整します。


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5、ALSの神経領域と症候の関係


以下の表1はALSの神経領域と症候の関係についてです。

下位運動ニューロン徴候は筋力低下、筋萎縮、線維束性攣縮です。
上位運動ニューロン徴候は反射の病的拡大、筋緊張亢進です。

障害される領域ごとにそれぞれの症候がでる部位や内容が異なります。

表1、ALSの神経領域と症候の関係



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6、ALSの麻痺の進展パターンと進行速度


図3はALSの麻痺の進展パターンと進行速度について示しています。

  
図3、ALSの麻痺の進展パターンと進行速度



左上のAのフローチャートでは病型によって症状出現の順序が異なることを示しています。胃瘻やNPPVなどの医学的管理や生活環境設定の変更など、起こりうるイベントの順番が変わってきます。例えば、四肢発症(図のUが上肢麻痺、Lが下肢麻痺)では症状がZ型に進展する場合が多く、上肢なら対側上肢、同側下肢へと進行していきます。この場合は補装具や生活環境整備がすぐに求められるのに対し、呼吸の医学的管理の問題は比較的進行してからとなることが多いです。
一方、球麻痺症状や呼吸筋から発症する例(図のBが球麻痺、Rが呼吸筋麻痺)では、早期から栄養管理や呼吸管理の問題が生じ、呼吸理学療法のニーズが高くなります



右上の図Bでは、初発症状から次の症状がでるまでの期間と生存期間の関連について示しています。初発症状から3ヶ月以上経過して次の症状が出現する群で長期経過例が多く進行は緩除ですが、初発症状から3ヶ月以内に発症した場合では進行が早く生存期間が短いことがわかります。


右上の図Cは球麻痺について。一般的に球麻痺はALSの生命予後を悪化させると言われていますが、初発症状から出現するまでの期間が重要になるということを示しています。初発症状から12ヶ月以上経過して球麻痺症状が出現した群は長期生存率が高く、逆に12ヶ月以内の場合は生存率が下がるということがわかります。

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7、参考資料


1)菊池 豊:筋萎縮性側索硬化症患者に対する発症初期から終末期までの理学療法の関わり、理学療法、34巻8号、2017.8.695-707
2)Brooks BR et al : EL Escorial revisited : revised criteria for the diagnosis of amyotrophic lateral sclerosis.Amyotroph Lateral Scler Other Motor Neuron Disord 1(5):293-299.2000
3)Fujimura-Kiyono C el al : Onset and spreading patterns of lower motor neuron involvements predict survival in sporadic amyotrophic lateral sclerosis.J Neurol Neurosurg Psychiatry 82(11):1244-1249.2011


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本日は以上で終わりです。今回はALSの概要として、病態や予後に関するお話をしました。
ALSは症例数が少ない疾患であり、この影響で他の疾患に比べて十分なエビデンスが不足しています。リハビリテーションは未だ確立された十分な内容が提供できる状態とは言い難い状況ですが、今回の記事では、ALSの病態の概要と色々な種類と症状の出現の仕方があるという点を抑えていただき、臨床現場でリハ評価を行う際に患者の状態に適したものを選択するための材料になれば嬉しいです。

次回は、「ALS(筋萎縮性側索硬化症)ってどういう病気?~診断と生命予後、予後不良因子について~ 」についてお話します。










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